社会の大問1「世界地理」の解説です。
この世界地理の問題は例年、特定の州や地域を取り上げるのではなく、世界地図からの出題や今回のように様々な地域から広く浅く出題される傾向があります。
苦手な生徒さんはまずは各問に出てくる用語の把握から、得意な生徒さんは以下で解説している背景も理解しながら習得を進めていきましょう!
では問題を見てみましょう。
問題
アフリカ州から2問、インド・スリランカ・カナダ・チリの4か国から選ぶ資料読み取り問題が1問、南北アメリカ州から2問の5問構成です。
計14点の配点があり、難しい問題もありませんから着実に得点できるようにしておきましょう。
ちなみに地図が3つ示されていますが、解答に地図が必要なのは最初の(1)のみです。
では1問ずつ解説していきますね!
解答と解説
設問1
地図1中のⅠ~Ⅳで示した経線のうち、本初子午線を示すものはどれか。Ⅰ~Ⅳから一つ選び、その符号を書きなさい。
令和6年度新潟県公立高等学校入学者選抜学力検査 社会〔1〕(1)
アフリカ大陸の地図を見て本初子午線を選ぶ問題です。
そもそも本初子午線とは何か、確認しましょう!
本初子午線がロンドンを通ることを覚えていた生徒さんは多いはずです。しかしこの問題は困ったことにアフリカ大陸しか書かれていないんですね…。
自信を持って解答するには本初子午線(と赤道)がどこを通るのかは覚えておくしかありません。
個人的には以下のポイントを覚えておくのがおすすめです!
※白地図専門店様の世界地図を編集
本初子午線が通る位置のポイントは…
赤道が通る位置のポイントは…
今回の問題では「本初子午線はアフリカ大陸のギニア湾で赤道と交わる」という点から正しいものが選べますね!
答え:Ⅱ (正答率 57.7%)
設問2
地図1で示したアフリカ大陸の多くの国々の経済は、特定の農産物や鉱山資源を輸出することで成り立っている。このような経済を何というか、その用語を書きなさい。
令和6年度新潟県公立高等学校入学者選抜学力検査 社会〔1〕(2)
基本的な用語問題です。確実に正解しましょう。
答え:モノカルチャー経済 (正答率 80.9%)
設問3
次の表は、地図2、3で示したインド、スリランカ、カナダ、チリについて、それぞれの国の人口密度、穀物生産量、主な輸出品目と金額を示したものであり、表中のa~dは、これらの四つの国のいずれかである。このうち、a、dに当てはまる国名の組合せとして、最も適当なものを、下のア~エから一つ選び、その符号を書きなさい。
令和6年度新潟県公立高等学校入学者選抜学力検査 社会〔1〕(3)
資料の読み取り問題です。各データの中から極端な数値に着目してa~dがどの国なのか、見つけていきましょう!
どこから見ていくかは自由ですが、真っ先に見つけやすいのはdの国です。人口密度が極端に低いので、これだけでdはカナダだと判断できます。
人口密度が低い国としては、モンゴル・オーストラリア・カナダが出題されすいので覚えておきましょう。いずれも国土面積に対して人口の少ない国です。
次にcの国を見ていきます。この中で最も人口密度が高く、穀物生産量が極端に高いですね。このことからcはインドだと判断できます。
インドは2023年から世界で最も人口の多い国になりました。(2位は中国)
「人口が多い=人口密度が高い」とは言えませんが、14億人を超える人々が中国のおよそ3分の1の国土に暮らしているのですから、インドの人口密度は当然世界的にも高い値になります。
インドは世界有数の農業大国でもありますから、穀物生産量は4か国の中で最も多くなります。
残るのはaとbの国、スリランカかチリですが、bがチリです。
bの国は主な輸出品目の1位と2位が銅に関わるものですね。チリは世界最大の銅の産出国なので覚えておくとすぐに判断できます。
残ったaがスリランカになりますが、他の3国に比べて輸出品目が軽工業中心で金額も小さいことから、途上国であることも判断材料になりますね。
結論と判断ポイントをまとめるとこのようになります。
- a : スリランカ … 輸出品目が軽工業中心。金額が小さく途上国。
- b : チリ … 銅の産出量世界1位。
- c : インド … 世界人口1位。世界有数の農業大国。
- d : カナダ … 人口密度が極端に小さい。
答え:イ 〔 a スリランカ、d カナダ 〕 (正答率 54.4%)
設問4
地図3の緯線は北緯37度を示しており、次の文は、この地図で示したアメリカにおける、北緯37度よりも南の地域について述べたものである。文中の X 、Y に当てはまる語句の組合せとして、最も適当なものを、下のア~エから一つ選び、その符号を書きなさい。
令和6年度新潟県公立高等学校入学者選抜学力検査 社会〔1〕(4)
選択問題でありますが、(2)と同様に基本的な用語問題ですので、サクッと正解しましょう。
答え:ア 〔 X サンベルト、Y ICT産業 〕 (正答率 71.7%)
サンベルトとシリコンバレーの違いは困惑する生徒さんも多いので、地図でしっかりとイメージを掴んでおきましょう!
※白地図専門店様の地図を編集
このようにまとめて、混同しないように注意しましょう!
もうひとつの選択肢となっているサヘルですが、こちらはアフリカ大陸のサハラ砂漠南部に広がる地域です。乾燥帯のステップ気候に属する気候で、ヒツジやヤギを主とした遊牧が盛んに行われています。砂漠化や食糧不足が問題となっている地域でもあり、ある意味サンベルトやシリコンバレーとは対極とも言える地域ですね。
設問5
右の写真は、地図3で示したペルーにある、インカ帝国の遺跡を示したものである。このように、南アメリカ大陸では、かつて、先住民による独自の文化が栄えていたが、現在は、主に、スペイン語やポルトガル語が使われ、キリスト教が信仰されている。その理由を、「16世紀」、「先住民」の二つの語句を用いて書きなさい。
※同画角の鮮明な画像に差し替え
令和6年度新潟県公立高等学校入学者選抜学力検査 社会〔1〕(5)
写真の遺跡はユネスコ世界遺産にも登録されている「マチュピチュ」です。別名「空中都市」とも呼ばれることもあり、アンデス山脈の標高2,430mもの山の尾根に位置しています。
このマチュピチュを築いたインカ帝国のような南アメリカ大陸の大国が滅び、現在は西洋の言語やキリスト教の信仰が残っている理由を簡単に説明する問題です。
模範解答はこのようになります。
答え:16世紀にスペイン人やポルトガル人が進出し、先住民を征服して植民地にしたため。(正答率 29.4%)
インカ帝国は1533年にフランシスコ・ピサロ率いるスペイン軍によって征服され滅亡しました。
もちろんこのことを知っているのがベストですが、知らなくてもこの問題は解答できます!
問題をしっかりと読めば答えは簡単に推測できます。もう一度見てみましょう!
「南アメリカ大陸では、かつて、先住民による独自の文化が栄えていたが、現在は、主に、スペイン語やポルトガル語が使われ、キリスト教が信仰されている。その理由を、「16世紀」、「先住民」の二つの語句を用いて書きなさい。」
つまり、かつての先住民の文化がなくなって、西洋の文化が今は残っているわけです。
「……!!植民地支配だ!!」となれば解答できますね!
「スペイン語やポルトガル語」と書いてあるのでスペイン人、ポルトガル人によるものだということもわかりますね!
これらを指定語句と組み合わせれば「16世紀にスペイン人やポルトガル人が先住民を植民地支配したから」と解答することができます。
説明記述問題は配点も大きい(この問題は5点)から答えないのはもったいないよ!!
今回みたいに問題文にヒントがあることも多いから何かしら必ず書こう!!
まずは基本用語を押さえよう!
大問1に出題された5問を解説してきました。
(2)で出題された「モノカルチャー経済」や(4)の「サンベルト」など、定期テスト対策でも確実に覚えたであろう用語も入試ではたくさん出題されます。
社会の入試対策としてまず大切にしてほしいのは普段の学校の授業と定期テスト対策です。他の教科以上に定期テストレベルの対策が受験でも効果を発揮するのが社会です。
そのため受験勉強でも教科書と学校ワークが大いに使えます。
学校ワークで基本用語を押さえて、教科書を読んで流れや詳細を確認していきましょう。
地道ではありますが、結果的に高得点への最短ルートになりますよ!
コツコツと積み上げて成果を上げていきましょう!
大問1の解説は以上です!最後までお読みいただきありがとうございました!