英語の大問1、リスニングの解説です。
残念ながら音声の用意ができなかったので、一般的なリスニングのコツや練習法、各問のポイントの解説になりますのでご了承ください。
とはいえリスニング、とっても大事な大問になります!
何よりも配点が高いです。
1問3点 × 10問、つまり30点の配点があります!
続く大問2〜4は英作文や読解の問題になりますので、英語が苦手な生徒さんほどリスニングで得点することが重要なんです。
問題と放送原稿
こちらが実際の問題です。
そしてこちらが出題音声の原稿です。
各設問の解説に入る前に、この記事を読んでいる皆さんに質問です。
この原稿、スラスラと音読できますか?
リスニング問題は文字通り音声の聞き取り問題ですから、たくさん英文を聞いて耳を鍛えることは大切です。
しかし、人間は発音できないものを聞き取ることはできないんです。
単語を覚えたり、英文を読解するにしても音声化できないものを読み取るのは非常に困難でもあります。
まず読めるようになることを第一に、多少間違ってても大丈夫ですから音読の癖をつけながら英語の学習を進めていきましょう。
では問題ごとに確認していきましょう。
解答と解説
設問1
はじめに英文が読まれて続く質問の解答を選択肢から選ぶ問題です。
リスニングではお馴染みの問題形式ですね。
2回読まれますから、1回目は英文の大枠を掴みながら“Question”を聞き取ることに全力を尽くしてください。
“Question”の内容さえ解れば2回目はその答えを探すことに集中できますね。
第1問
When you clean rooms, you use this.
Question: What is this?
” clean rooms”の部分が聞き取れれば問題なしですね!
答え:エ (正答率 99.2%)
第2問
David is interested in an animal. It can fly.
Question: What animal is David interested in?
ア A bird.
イ A cat.
ウ A dog.
エ An elephant.
選択肢に並んでいるのが動物の名前ですから、あとは “can fly”の部分を聞き取れれば迷いませんね。
答え:ア (正答率 97.3%)
第3問
In my town, there is a hotel next to a post office. A museum is in front of a school. A park is between the museum and a book shop. We have a nice restaurant next to the school.
Question: Which is the hotel?
新潟県公立高校入試のリスニング問題ではこのような地図を見ながら答える問題が頻出です。
この問題から音声の英文も長くなり、情報量が増えますので慎重に聞き取っていかなかければなりません。
重要な箇所を順番に確認していきましょう。
1文目、”there is a hotel next to a post office”と言っています。
“next to ~“で「~のとなり」なので、”hotel”が”post office”のとなり、つまりアかイにあることがわかります。
2文目、”museum is in front of a school”を聞き取りましょう。
“in front of ~“で「~の前」なので、”museum”は”school”の前、つまりウにあります。
3文目、”park is between the museum and a book shop”です。
“between A and B“で「AとBの間」なので、”park”は”museum”(ウ)と”book shop”の間、つまりエです。
4文目、”a nice restaurant next to the school”なので、”restaurant”が”school”のとなりにあります。
これによってアは”restaurant”になるので、”hotel”はイに決まります。
質問で聞かれている”hotel”の位置がわかりました!
答え:イ (正答率 89.9%)
情報量の多いリスニング問題はメモを取りながら聞こう!
メモは日本語に直さないで聞こえたまま、できるだけ簡単に!
例えば”hotel”だったら頭文字の”h”、もしくはカタカナで「ホ」って書くと早いしわかりやすいね!
第4問
Hello, Miho. This is Jane. I want to talk about our plan for tomorrow. We are going to meet at the library at nine a.m. and study there until noon, and then go to the sea, right? The news says it will be sunny tomorrow afternoon, so we can enjoy swimming and playing volleyball on the beach. If you have any questions, call me later. Bye.
Question: What is Jane going to do with Miho tomorrow morning?
ア She is going to study in the library.
イ She is going to go to the sea.
ウ She is going to swim.
エ She is going to play volleyball.
選択肢が全て”She is going to ~”で始まっていますね。
“be going to ~“は「~するつもりだ/予定だ」という予め決まっている未来の動作を表す表現です。
事前にここを見ておくだけでも、「予定を聞かれるんだな」と構えることができますね。
その上で1回目の音声で「誰」の「いつ」の予定を聞かれるのかを聞き取ることに集中しましょう!
“What is Jane going to do with Miho tomorrow morning?”
聞かれているのは”Jane”の”tomorrow morning”の予定です。
そこに集中して2回目を聞きます。
“Hello, Miho. This is Jane. I want to talk about our plan for tomorrow. We are going to meet at the library at nine a.m. and study there until noon, and then……”
まず、出だしの”This is Jane.”で話し手がジェーンであることがわかります。
その後の、”We are going to meet at the library at nine a.m. and study there until noon,”が聞き取れればここで決まります。
“meet at the library at nine a.m.“「午前9時に図書館で会う」ここだけでも選べますし、
“study there until noon“「正午までそこで勉強する」ここまで聞き取れれば完璧ですね!
ちなみに「モーニング」というと日本では「朝」というイメージが強いと思いますが、英語での“morning”は「午前中」、つまり朝から昼前までを指すので気を付けましょう!
答え:ア (正答率 73.7%)
音声の序盤で答えが決まるので、2回目の音声の後半は聞き流して次の問題に備えましょう。
問題としては前半のみの聞き取りで大丈夫ですが、以下の全文訳を使って表現の確認と音読練習はしておきましょう。
設問2
設問1から話者が増えて対話文になりますが、それ以外は変わりません。
話者が増えたため「誰について聞かれているのか」を”Question”から正確に聞き取ることを意識しましょう。
設問1と同様、1回目で”Question”を確実に聞き取り、2回目で確定させていきましょう!
第1問
A: Oliver, this desk is nice. I want to buy the same one.
B: Really? Actually, I made it.
A: Oh, you are great. I want to make one, too.
Question: Did Oliver make the desk?
ア Yes, he does.
イ No, he doesn’t.
ウ Yes, he did.
エ No, he didn’t.
まず”Question”で聞かれていることを1回で聞き取りましょう。
「オリバーはその机を作ったのかどうか」ですね。
そしてもう1点、“Did ~”で聞かれていますので、この時点でウかエの2択になります。
話者のうち、Bがオリバーです。”I made it.”で決まりますね。
答え:ア (正答率 84.6%)
第2問
A: Will you come to our school festival next week, Paul?
B: Of course, yes. I’ll go with my sister. She will take me there by car.
A: Oh, you can’t come to my school by car. There is no place for cars on that day. You should come by bike, by bus, or by train.
B : OK. I’ll go by bike.
Question: How will Paul go to the school festival?
ア By car.
イ By bike.
ウ By bus.
エ By train.
選択肢を見て「交通手段が聞かれる」ことが想定できますので意識して聞くようにしましょう。
“by + 乗り物“で「~で、~に乗って」などの交通手段を表します。
今回の対話は途中からずっと交通手段の話をしていますので、結論がどうなるか着目して聞けば大丈夫です。
序盤の”by car”に引っかからないようにしましょう。きちんと最後に”I’ll go by bike.”と言っていますね。
答え:イ (正答率 89.9%)
第3問
A: Please come and have dinner with us. Are you free this Friday evening?
B: Thank you, but I’m going to have a piano lesson on that day.
A: Then, how about the next day?
B: OK. I think I can visit you at seven in the evening.
Question: When will they have dinner together?
ア On Thursday.
イ On Friday.
ウ On Saturday.
エ On Sunday.
こちらも全問同様に選択肢をみて曜日を聞かれることが事前にわかりますね。
会話の流れを正確に追うことができれば難しくはありません。
最初にAの人が”Are you free this Friday evening?”と、”Friday evening”について尋ねています。
それに対してBの人が”Thank you”と答えていることに引っかからないでくださいね。
おそらくリスニングに慣れていないと、続く”but”が聞き取れないかもしれません。
英語にはしばしば発音しない”t”や”d”の音(リダクションといいます)があり、この”but”も弱く”バッ”という感じの発音になることがあります。
特に単語の末尾の”t”や”d”は発音されないことが多いことを知識として知っておきましょう。
もし”but”が聞き取れなくても”have a piano lesson”で断っていて、続いて”next day?”からの”OK.”を最低限聞き取ることができれば正解することは可能です。
あとは”Friday”の”next day“を間違えずに選択しましょう。
答え:ウ (正答率 75.3%)
しかしなんとなく聞き取れての正解では心許ないので、以下の全文訳を使いながら内容の確認と繰り返しの音読で余裕を持って正解できるようにしておきましょう。
今回の問題のように数回のやり取り結果として出た結論を問われることは多くありますから、会話の流れを正確に聞き取る練習を重ねていきたいですね。
第4問
A: Ben, this is for you. I went to Canada during the winter vacation.
B: Oh, what a beautiful hat! Thank you, Hinako. What did you do there?
A: I joined a special winter English class there.
B: How was it?
A: At first, I was too shy and I couldn’t talk to the students. But they asked me many questions, so I communicated with them. It made me very happy.
Question: Why did Hinako feel happy?
ア Because she went to Canada to see Ben.
イ Because she bought nice hats for the students there.
ウ Because she joined a special winter English class with Ben.
エ Because she communicated with the students there.
選択肢が全て”Because 〜”で始まっていますね。
この時点で”Why 〜?”で聞かれるということは多くの受験生が気づいたと思います。
予め「”Why 〜?”で聞かれる」ことが判っている時はほどんどの場合で”so 〜”以下が答えとなります。
英検などでも使えるテクニックですので是非覚えておきましょう!
もし”Question”の”Why 〜”以下がうまく聞き取れなかったとしても、会話中で”so 〜”が見つけられればあとは選択肢から同じ内容を選ぶだけです。(別の表現で言い換えられている場合もありますが…)
今回の問題では最後の”…many questions, so I communicated with them. It made…”の部分が該当しますね。
幸いほぼそのままの選択肢がありますので、これが正解になります。
答え:エ (正答率 80.8%)
設問3
最後の設問は記述式です。
英作文ではありますが、比較的やさしい応答文を書くだけなので落ち着いて質問を聞き取ることができれば解答できるはずです。
再度問題を確認して、放送音声を見てみましょう。
これから、あなたの学校の離任式で、アメリカに帰国することになったALTのスミス先生(Mr.Smith)が、英語のスピーチをします。そのスピーチについて、二つの質問をします。それぞれの質問に対する答えを。3語以上の英文で書きなさい。
令和6年度新潟県公立高等学校入学者選抜学力検査 英語〔1〕(3)
Hello, everyone. This is my last message to you. I came to Japan in August three years ago. I have had a great experience in Japan. Especially, I’m very happy that I have spent time with all of you in this school. My best memory is the chorus festival. Your chorus was amazing! When I go back to America, I will study music because I want to be a music teacher. Thank you for everything. I hope I’ll see you again. Bye.
Question :
1 Did Mr. Smith come to Japan in summer two years ago?
2 Why wilI Mr. Smith study music when he goes back to America?
第1問
“Question 1 : Did Mr. Smith come to Japan in summer two years ago?” に答えましょう。
“Did Mr. Smith 〜 ?“と聞かれていますから、答えは”Yes, he did.“か”No, he didn’t.“のいずれかです。
スピーチの3文目、”I came to Japan in August three years ago.”を聞き取れていることが大切ですね。
“Question”では”in August”が”in summer”に言い換えられていますが、答えとなるのは文末です。
”two years ago?“と聞かれましたが、スピーチでは”three years ago.”と言っていますので、ここさえ聞き取れればOKです!
答え:No, he didn’t. (No, he did not.) (正答率 59.8%)
上記以外にも、”No, he didn’t come to Japan two years ago.”などと答えても○です。
第2問
“Question 2 : Why wilI Mr. Smith study music when he goes back to America?” に答えましょう。
“Why 〜?“で聞かれたときは、”Because 〜.”(理由「なぜなら〜だから」)もしくは”To 〜.”(目的「〜するため」)で答えるのが基本です。
上の設問2の第4問では、”so 〜”の部分を言い換えようと説明しましたが、このスピーチでは”because 〜”の言い回しがそのまま出てきますので、聞き取って書き取りましょう。
終盤の”When I go back to America, I will study music because I want to be a music teacher.”の文がそれになります。
この”because”を聴き逃さなければ大丈夫です。
あとは”I want …”の部分を”he wants …”に変えることを忘れずに!
特に主語を”he”に変えたことに安心して”wants”の”s”まで気が回らない受験生も多かったかと思います。
この辺りの書き換えは英作文練習や長文読解での英文記述の問題で経験を積んでおきたいところです。
答え:Because he wants to be a music teacher. (正答率 35.1%)
対策:音読→精読→音読!
解説でも何度か書いているようにリスニングの1番の対策は音読の繰り返しです。
闇雲に読みまくればいいわけではありません。
最も効果的なのは…
- 全体をゆっくり音読しながらどれだけ内容を掴めるかやってみる
- 音読して掴んだ内容があっているか確認しながら、一文ずつ単語や表現・文法事項を確認する(精読)
- 内容を正確に把握した上で抑揚や区切るポイントを意識しながら流れるように読めるまで音読を繰り返す
これをさまざまな文章で繰り返し行いましょう。
音読のお手本があった方がやりやすいと思いますから、まずは教科書や英検の対策テキスト(3級程度)で取り組むのをオススメします。
ある程度の単語や読解の習得ができてきたら、模試や実力テスト、入試過去問の対話文や長文での練習をしていきましょう。
音読はリスニングだけでなく、読解にも大きな効果があります。まとまった英文を学習したら仕上げに必ず音読する習慣をつけていってくださいね!
大問1の解説は以上です!最後までお読みいただきありがとうございました!